しとどの窟

しとどの窟

石橋山合戦に敗れた源頼朝が身を隠したとされる「しとどのいわや」は、神奈川の湯河原温泉郷から北西へ向かった深い山中にあります。見てのとおり切り立った崖にできたわずかなくぼみに過ぎず、常に雨水がしたたり落ちる不気味な雰囲気の漂う空間です。

おそらく伊豆山神社や箱根神社の修験者たちが夜露を凌ぐために利用した避難場所のような洞穴だったのでしょう。ここは頼朝の挙兵当初から参軍した土肥実平の領地です。こうした隠れ場所や山伏の通る道を熟知する実平は、箱根の森を逃走する頼朝にぴったり寄り添って道案内を務め、とうとう平家軍の追跡を振り切りました。

ここへは湯河原町と箱根芦ノ湖を結ぶ椿ラインの中腹、「椿台」の駐車場から徒歩で向かいます。いちおう整備された道ではありますが、かなり傾斜がきつく、距離もありますので、それなりの覚悟がいります。

(公開日:2023-03-04)