上総一宮(玉前神社)

玉前神社の拝殿

上総国の一宮である玉前神社(現、千葉県長生郡一宮町一宮)は、上総広常の領地である上総国埴生郡玉前荘にありました。すぐ近くを一宮川が流れ、九十九里浜へも近い平野部にあるこの地域は、平安末期から地域の政治経済の中心地だったと思われます。

境内の一隅にある「平広常顕彰碑」は、謀叛の疑いをかけられ頼朝に誅殺された広常を悼み、後に嫌疑が晴れた事跡を記した石碑です。広常は頼朝の御運を祈願する封書を結びつけた小桜皮縅こざくらがわおどしよろい一領を玉前神社に奉納していました。その甲を取り寄せると、祈願書には

  • 三箇年中可寄進神殿二十町事(三カ年の内に、神田二十町を寄進すべき事)
  • 三箇年中可致如式造堂事(三カ年の内に、式の如く神殿の造営を致すべき事)
  • 三箇年中可射萬度流鏑馬事(三カ年の内に、万度の流鏑馬やぶさめを射るべき事)

という三つの願が立てられていました。これを読んだ頼朝は広常に謀叛の心はなかったと知り、大いに後悔して冥福を祈ったとされます。

上総広常の祈願書を記す顕彰碑

玉前神社へはJR外房線の上総一ノ宮駅から徒歩10分弱。駐車場、トイレ完備の立派な神社です。

(公開日:2024-01-08)