丸子川

酒匂川の河口付近から石橋山古戦場方向を臨む

石橋山合戦の切っ掛けをつくったのは三浦党の示威行動でした。治承四年八月二十三日の夕刻、源頼朝の挙兵に加わろうと領地を発った三浦軍は丸子川(現在の神奈川県小田原市の酒匂川河口付近)まで到達しますが、連日の雨で増水した川を渡れません。

当時の武将は40キログラムもある大鎧や武器を具しますから、増水した川を無理に渡ろうとして馬がバランスを崩し転倒すると、人馬ともに流されて溺れ死ぬ恐れがあります。源平争乱の戦記では、防御側が橋を撤去して敵の前進を防ぐといった場面はたびたび描写されます。

行く手を塞がれていきり立った三浦党は、付近にあった敵方の家屋に火を放ち、対岸に集結する平家軍を威圧します。これを見た大庭景親は、翌日になり三浦党が渡河して参戦すれば頼朝軍と三浦軍の挟み撃ちに遭うと考え、黄昏時にもかかわらず石橋山の頼朝軍に攻撃を仕掛けました。

酒匂川の河口付近から石橋山古戦場までの距離は、Googleマップによれば7.6キロメートル、徒歩1時間36分と示されます。戦場を目視できる地点まで進軍したのに合戦に加われなかった三浦党は砂を噛む思いをしたことでしょう。

酒匂海岸へは国道1号線から西湘バイパス酒匂ICへ向かい、IC入口の手前で側道へ入ると、無料の駐車場があります。なお酒匂ICは入口のみですので、国府津ICか早川ICで降りて国道1号を利用しましょう。

(公開日:2023-02-25)