渋谷氏館跡

渋谷氏の館跡とされる早川城跡の平場

渋谷重国は桓武平氏秩父氏の武将で、武蔵国荏原郡から相模国高座郡渋谷荘までを所領とします。源頼朝が挙兵した当初は大庭景親の催促に応じ、平家方として石橋山合戦に参軍しました。本来なら逆賊として斬首のうえ所領没収となるところでしたが、頼朝挙兵に当初から従った佐々木定綱らを食客として長年扶持した功を認められ、鎌倉方の御家人に加えられ、所領も安堵されました。

その後、木曽義仲を討伐するため上洛した源義経軍に加わり、宇治川合戦で二百騎を率いて戦ったほか、平家追討のため西国へ向かった源範頼の軍勢に随行し、豊後合戦では最前に渡海して原田種直を討ち取る軍功を挙げました。

渋谷重国の館跡とされるのは、神奈川県綾瀬市早川の早川城跡です。文献資料が残されてないため発掘調査したところ、堀切や土塁など多くの城郭関連遺構が発見されたそうです。本記事の見出し写真は早川城跡北面に残された堀切跡です。現在はよく整備された城山公園となっています。

小高い台地にある公園の中心部は、かつて館が建っていた平場だったと思われます。ここには縄文時代中期の竪穴住居址二軒が発掘され、土器や石器も出土したそうです。広い公園内には各種案内板も充実しており、古に思いを馳せてゆっくり散策するには最適です。

(公開日:2023-10-29)