箱根湯坂

湯坂路(鎌倉古道)の登り口

鎌倉時代に整備されたとされる湯坂路は、現在の箱根登山鉄道「箱根湯本駅」の少し先から登山道が始まり、湯坂山、浅間山、鷹巣山を経て芦之湯へ向かうルートです。下記の地図を見れば分かるように、現在の国道1号線が通るのは早川に沿った渓谷道で、江戸時代に使われた旧東海道は須雲川に沿った道ですが、湯坂路は新旧東海道に挟まれた尾根づたいの道でした。

石橋山合戦に敗れ源頼朝と別行動をとった北条時政と子息義時は、『吾妻鏡』治承四年八月二十四日条に「箱根湯坂を経て甲斐国へ向かおうとしていた」とあります。北条父子は身を潜めていた湯河原町の山中から北上し、湯坂路を使って仙石原方面へ抜け、乙女峠から御殿場へ下り、甲斐国を目指したと思われます。

山中を行く湯坂路

平安時代末期の正規な東海道は箱根峠を迂回して足柄峠を通りましたから、北条父子は東海道の裏道である湯坂路を使うことで平家方の追跡を逃れようと試みたのでしょう。しかし大庭景親の率いる軍勢は「賴朝の跡を追って峯や谷を探し回った」とされますから、おそらく湯坂路も敵の軍勢によって封鎖されていたようで、やむなく時政と義時は杉山に隠れる賴朝の元へ引き返しました。

湯坂路(箱根古道)登山口へは、国道1号線を箱根方面へ進み箱根湯本駅の先で和泉温泉立ち寄り湯処の有料駐車場を利用できます。駐車場のすぐ先に登山道入口の看板があります。

(公開日:2023-03-23)